Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅんし
殉死
山本 周五郎
Lesen Sie 殉死 (じゅんし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.737 Zeichen · 21 Bildschirme
「兄上、兄上は口惜しいとはお思いにならないのですか」濡れ縁の上にかたく坐った勝之丞は、ぽろぽろと涙をこぼしながら云った、「人も多くいる面前で、主馬どのははっきりそう申されたのです、勝之丞にはがまんがなりません、福尾の家名にもかかわると存じます、兄上はそうお思いになりませんか」
庄兵衛は眼を転じて城下町のほうをみた、霧が立っていた。四方を山にかこまれた三次盆地は春から秋へかけて霧がふかい、それは「霧の海」とも呼ばれる名だかいもので、朝夕はほとんど盆地の上を覆いつくし、少し高いところからみると、丘陵や山々が島のように霧海へ浮いてめずらしい展望となる、……いま庄兵衛の眼にその霧の海のいちぶが見え、黄昏かかる光りをあびて刻々に巻きたち揺れうごくさまが眺められた。
「主馬の申すことにまちがいはない」庄兵衛はしっかりとした口調で云った、「禁令の御趣意は生きて御奉公せよということだ、故殿の御恩にむくゆるには、追腹を切るよりどこまでも生きて、お世継のため藩家のために御奉公するのが道だ、そのくらいの道理がおまえにわからないのか」
「では、では兄上は、どうして兄上はそうなさらなかったのです、なぜこのように御墓所のおまもりをなすっているのですか」