Japanische Klassiker mit Furigana
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のこされたるえど
残されたる江戸
柴田 流星
Lesen Sie 残されたる江戸 (のこされたるえど) von 柴田 流星 (しばたりゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.677 Zeichen · 80 Bildschirme
然れば夕べに七つ屋の格子を潜って、都々逸よりも巧みな才覚しすまして旦は町内のつきあいに我も漏れず、一日を他愛もなく興じ暮らして嚢中の空しきを悔いざる雅懐は、蓋し江戸ッ児の独占するところか。
上げ汐の真近時になると、いずれの船からも陣鉦、法螺の貝などを鳴らし立てて、互いにその友伴れをあつめ、帰りは櫓拍子に合わせて三味線の連れ弾きも気勢いよく、歌いつ踊りつの大陽気、相伴の船夫までが一杯機嫌に浮れ出して存外馬鹿にもならぬ咽喉を聞かすなぞ、どこまでも面白く出来ている。お土産は小雑魚よりも浅蜊、蛤の類、手に手に破れ網の古糸をすき直して拵えたらしい提げものに一ぱいを重そうにして、これ留守居や懇意へのすそ頒け、自分は喰べずとも綺麗さっぱり与ってしまった方が結句気安いようで、疲れて寝る臥床の中に、その夜の夢は一入平和である。
山吹の名所
歌書には井出の玉川をその随一とするよう記されてはあるが、さて今はさる名所も探ぬるに影さえ残らず、あわれ名所の花一つを旧蹟もなくして果てようとしたを向島なる百花園の主人、故事をたずね、旧記をあさって、此処彼処からあつめきた山吹幾株、園のよき地を択りに択って、移し植えたるが一両年この方大分に古びもつき、新しく江戸の名所をここに悌だけでも留め得た。