Japanische Klassiker mit Furigana
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のこされたるえど
残されたる江戸
柴田 流星
Lesen Sie 残されたる江戸 (のこされたるえど) von 柴田 流星 (しばたりゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.677 Zeichen · 80 Bildschirme
その他愛宕の市で福寿草の相場がすわり、天神の市で梅の値を確実にするなど、今も昔に異ならず、これにも景気と気勢いとが肝腎である。オット忘れた、深川のは調べの市というそうな。
江戸ッ児は何につけても担ぐとて嗤いたもうな。ケナせば元来が門松だの飾り藁だのというもの、実はあってもなくてものもので、そを縁起まで祝うて年迎えのしるしとせんことは、理屈や議論ではとうていお話にならぬこと、ただそれその心持ちが第一である。
さればいずれの歳の市にも、ダラダラの大晦日まで続いたところが、門松だけは二十九日までに遅くとも立ててしまい、一夜飾りはせぬものと老人の注意を、誰しも正直に守って疑わず、どういうわけと念を押すなぞは決しておくびにも出さない。
「めんどくせえやな、悪りいてえから悪るけりゃしねえまでよ、なァ、人の嫌がることをしねえたて、こちとらァそれでよゥく日も経ッてかァな」
江戸ッ児の気分はただそれ如此である、ただそれ如此である、無邪気と、ザックバランと、人を嫌がらせねえのと、遠慮会釈がないのと、物事がテキパキしておるのと、これらを除いてはかれの生命なるもの殆んど他にこれあるを知らぬ。