Japanische Klassiker mit Furigana
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だんばしごのきょうふ
段梯子の恐怖
小酒井 不木
Lesen Sie 段梯子の恐怖 (だんばしごのきょうふ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.318 Zeichen · 3 Bildschirme
妹は姉さんよりも遥かに美しかったので校長が大へん力を入れて、お聟さんを捜し、遂に某青年に白羽の矢が立って、いよいよ見あいする迄に事が進んだのだ。
青年は校長夫人に連れられて、Sさんの家をたずね、すぐさま二階へ通されたのだ。先ずSさんが来て挨拶する、それから本人がお茶を運んで来る、双方チラと……いやいけないね、僕は描写がまずいから、とに角、その場の空気から察して二人は互いに気に入ったらしい。それからお菓子が出る、果物が出る、姉さんもかなりに喜んだらしいが、青年の観察したところによると、長年育てた妹を奪われる悲哀に似たものがその顔に浮んで見えたということだよ。ことに校長の媒酌といえば文句もいえぬしね。
一時間ばかり過ぎて、盛装した娘は林檎の食いあましの皿を持って階下へ行こうとしたが、段々を二つ三つ降りたかと思うと、足をふみ辷らせたと見え、「ドドドン」という音が家内中に響き渡ったので、青年も校長夫人も、思わず立ち上がって階段の降り口へ駈けつけたそうだ。
「ハハハハハ」私は思わず笑った。
しかしFは真面目顔だった。「君もやっぱり笑っちまったね。しかしだ。その娘が、落ちた拍子に林檎を剥くナイフの先で頬を傷つけ、それから丹毒症に罹って五日目に死に、妹の死んだ晩に姉さんが縊死したときいたら、あまり笑えないだろう」