Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はは

母

宮本 百合子

Lesen Sie 母 (はは) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.021 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

母の考えているところは感じられて、それに反撥しながら、今度こそ独りになって、自分のまわりに執念ぶかく結わかれている柵を二度と結い直しのきかない程にふっ飛ばそう。こんどこそ生きたいように生きるのだと、勇躍して、じかに生活へとび込む希望と好奇心に満ち溢れて、太平洋を渡ったのであった。

妙な結婚なんぞして、母の絶大な幻滅の前へ二十一歳の私は確信ありげな顔つきで帰って来たのであった。結婚した人と母の気質も到って不調和で、母が遂に家から出て行けと業を煮やしたのも、今日になってみれば無理ないことであったと思う。

子供時代からの本箱と敷いていた木綿の夜具だけをもって、私は両親の家を出た。

母は、父に向っても、娘に向っても、自分のうけた打撃はきびしく復さずには居れないたちで、又それをやった激しい気質の女性であるが、それは日常的な家庭生活の内でのことで、世間に向ってものを云う場合になると、その母でもやっぱり従来のありきたりの型に興味ある自分の性格をちぢこめ、あてはめて、娘や息子の愛のためには身をすてる女のように自身を語るのであった。そしてそう話しているときの自分の心には、偽りはなかったのであったろう。