Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ははのてがみ

母の手紙

中野 鈴子

Lesen Sie 母の手紙 (ははのてがみ) von 中野 鈴子 (なかのすずこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 985 Zeichen · 2 Bildschirme

Aozora Bunko

人のために

命も牢やも物ともしないで働いていたんだか

そして命も牢やも物ともしないで働いている人がそんなにたくさんいるんかいの

大学校まで出た旦那衆の息子さんらや

大学校の先生までもいなさるんじゃってな、お前の言うことはよく分かっただ

いまは毎日、あの田の草取りだ

昼間の暑い陽ざかりにジリジリの

煮え湯の泥田を四つんばいになって這うて

歩くのじゃ

顔も手もぼんぼんにふくれ上がり

爪の先がずくずくうずくだ

六十ごけ婆がこのように

もがいても喰う米も無いんだ

その横で地主の奥様は夏羽織で

お寺まいりなさるし、若旦那衆は

洋服で海へ行ったり

ボール投げしているだ

わたしはわかっただ

お前の言う通りだ

辛い不幸なお母あはわたしひとりでない

喰えないお母あや息子や、子供で一ぱいだ

何と言う者がいようと お前のしたことは真直ぐだ

お母あの生計のことなんど小指ほども

心配するでない

お母あはこのように元気なのじゃもの

そのような 牢やの中で心配していると

お前の体が立たんぞも

お母あは、田圃の中で

いろりのくすり火の中で

牢やの中のお前と一つこころじゃ

力んでいるだ

手を合わせて念じているだ

夜も そう思うて寝むるだ