Japanische Klassiker mit Furigana
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ははおや
母親
豊島 与志雄
Lesen Sie 母親 (ははおや) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.057 Zeichen · 11 Bildschirme
」
「いいえ、着物なんかどうだって宜しいんです。お詣りを二度もするのは……。」
「慾ばりね。」
「そう、慾ばりですよ。」
「慾ばり、やめたあ。」
歌うように言って喜久子は笑う。信子も笑う。
「今日は、あなたがちっとも慾ばらなかったから、御馳走してあげましょうね。」
「知ってるわ。鶏のお肉でしょう。」
「あら、どうして分ったの。」
「だって、さっき買ったんですもの。」
「あ、そうでしたね。お好きでしょう。」
「大好き。久しぶりだわ。お砂糖も使ってね。」
「ええ、沢山使ってあげますよ。早めに御飯にしましょうね。」
信子は台所に立ってゆく。喜久子は古い絵本を取り出し、また繰り返して、眺めたり読んだりする。
「お母ちゃん、あのね、あたしが学校にゆくと、お母ちゃん淋しいでしょう。」
台所から信子が返事する。
「今から、そんな、生意気なこと言うんじゃありません。」
喜久子は首をすくめて、また絵本に見入るのである。
――吉岡は酒をぐいぐい飲んだ……。信子よ、私はだいぶ酔ってきた。だが、これを飲んでしまいたい。そして散歩に出よう。雲が切れて、夕日がさしてきた。夕日の中を歩きたいのだ。然し、あなたを訪れに行くのではない。