Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もうりせんせい

毛利先生

芥川 竜之介

Lesen Sie 毛利先生 (もうりせんせい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.383 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「それから毛利先生は、雨が降ると、洋服へ下駄をはいて来られるそうです。」

「あのいつも腰に下っている、白い手巾へ包んだものは、毛利先生の御弁当じゃないんですか。」

「毛利先生が電車の吊皮につかまっていられるのを見たら、毛糸の手袋が穴だらけだったって云う話です。」

自分たちは丹波先生を囲んで、こんな愚にもつかない事を、四方からやかましく饒舌り立てた。ところがそれに釣りこまれたのか、自分たちの声が一しきり高くなると、丹波先生もいつか浮き浮きした声を出して、運動帽を指の先でまわしながら、

「それよりかさ、あの帽子が古物だぜ――」と、思わず口へ出して云いかけた、丁度その時である。機械体操場と向い合って、わずかに十歩ばかり隔っている二階建の校舎の入口へ、どう思ったか毛利先生が、その古物の山高帽を頂いて、例の紫の襟飾へ仔細らしく手をやったまま、悠然として小さな体を現した。入口の前には一年生であろう、子供のような生徒が六七人、人馬か何かして遊んでいたが、先生の姿を見ると、これは皆先を争って、丁寧に敬礼する。毛利先生もまた、入口の石段の上にさした日の光の中に佇んで、山高帽をあげながら笑って礼を返しているらしい。