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Japanische Klassiker mit Furigana

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すいがいざつろく

水害雑録

伊藤 左千夫

Lesen Sie 水害雑録 (すいがいざつろく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.302 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

十八を頭に赤子の守子を合して九人の子供を引連れた一族もその内の一群であった。大人はもちろん大きい子供らはそれぞれ持物がある。五ツになるのと七ツになる幼きものどもが、わがままもいわず、泣きもせず、おぼつかない素足を運びつつ泣くような雨の中をともかくも長い長い高架の橋を渡ったあわれさ、両親の目には忘れる事のできない印象を残した。

もう家族に心配はいらない。これから牛という事でその手配にかかった。人数が少くて数回にひくことは容易でない。二十頭の乳牛を二回に牽くとすれば、十人の人を要するのである。雨の降るのにしかも大水の中を牽くのであるから、無造作には人を得られない。某氏の尽力によりようやく午後の三時頃に至って人を頼み得た。

なるべく水の浅い道筋を選ばねばならぬ。それで自分は、天神川の附近から高架線の上を本所停車場に出て、横川に添うて竪川の河岸通を西へ両国に至るべく順序を定めて出発した。雨も止んで来た。この間の日の暮れない内に牽いてしまわねばならない。人々は勢い込んで乳牛の所在地へ集った。

用意はできた。この上は鉄道員の許諾を得、少しの間線路を通行させて貰わねばならぬ。