Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
たとい催促をされないまでも、面の皮を厚くして乗り込むわけには行かなくなった。初めから判り切っている事ではあるが、彼はその判り切っている路を歩んで、判り切っている最後の行き止まりに突き当った。金がいよいよ無くなったら何とか考えよう――彼はその最後の日まではなんにも考えまいと努めていたが、さていよいよ何とか考えなければならない時節になった。彼はやはりなんにも考えられなかった。
歳は男盛りである。からだは丈夫である。いざとなれば天秤棒を肩にあてても自分一人の糊口はできると多寡をくくっていたものの、何を楽しみにそんな事をして生きて行くのかということを、彼はこの頃になってしみじみと考えさせられた。もうそうなったら八橋には逢えない。おれは八橋と離れて生きてはいられないということが、今さら痛切に感じられて来た。
博奕打ちをやめたのも八橋の意見に基づいたのである。身上を潰したのも八橋が半分は手伝っている。命と吊り替えというほどの千両を残らず煙にしたのも、みんな八橋のためである。この三年このかたの自分は、すべて八橋に操られた木偶のように動いていたのであった。人形遣いの手を離れて木偶の坊が一人で動ける筈がない。