Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
自分は今夜来ない筈になっていたのであるから、先客に座敷を占められても苦情はいえない。しかし馴染みの客が茶屋に来ているのに、今まで迎いに来ないという法はない。
「今夜の客というのは侍か町人か、どんな奴だろう」と、外記は軽い妬みをおぼえた。
さっきから女房が再び顔を見せないのは、何か向うにごたごたが起ったのではあるまいかとも考えて見た。座敷を明けろとか明けないとかいう掛け合いで、茶屋が自分のために骨を折っていてくれるのではないかとも善意に解釈して見た。外がだんだんに賑わって来るにつれて、外記はいよいよ苛々して来た。迎いの来るのを待たずに、自分から大菱屋へ出掛けて行こうかとも思った。
女房は息を切って階子をあがって来た。
「どうもお待たせ申しました。花魁は宵に早く帰るお客がござりましたもんですから、それを送り出すのでお手間が取れまして……。いえ、もう直ぐにお見えになります」
綾衣の遅いのには少し面倒な子細があった。駿河屋の女中は外記の顔を見ると、すぐに綾衣を仕舞いに行ったが、たったひと足の違いでほかの茶屋からも初会の客をしらせて来た。そういうことに眼のはやい女中は、二階の階子をあがる途中でついと相手を駈けぬけて綾衣の部屋へ飛び込んでしまった。