Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
それが水臭いような、恨めしいようにも思われてならなかった。どんな事でもいい、聞けば聞いたように自分にも覚悟がある。たとい天が落ちて来ようとも地が裂けようとも、今更おどろくような意気地なしの自分ではない。それは万々知っている筈の外記がなぜ卑怯に隠し立てをするのか、それが憎いほどに怨めしかった。今となって男の心が疑わしくもなった。
「ぬしは奥様でもお貰いなんすのかえ」
途方もない不意撃ちを喰らわして探りを入れると、外記は思わず噴きだした。
「馬鹿を言え、そんな気楽な沙汰かい」
「気楽でないと言わんすなら、また新しい苦労でも殖えなんしたかえ。主はなぜそのように物を隠しなんす。お前、ひと間住居とやらにでもなりんすのかえ」と、綾衣は厚い三栖紙を膝に突いて摺り寄った。
一間住居というのは座敷牢である。武家で手にあまる道楽者などがあると、戸障子を釘づけにした暗いひと間をあらかじめ作っておいて、親類一同が立会いで本人に一間住居を言い渡す。そうなったら否も応もない。大勢がまずその大小を奪い取って、手籠めにしてその暗いひと間へ監禁してしまうのである。廓へ深入りした若侍でこの仕置きを受けた者がしばしばあることは、綾衣もかねて聞いていた。