Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
「大坂じゅうに隠れのない噂、わたしは残らず聞きました。それでもお前の身に何の祟りもなかったのが、せめてもの仕合せというもの。そうして、親方の首尾はどうでござんすえ」
「いつもいう通り、親方は親切な人。いよいよ私をいとしがってくれる。それにちっとも苦労はない」
そう言いながらも、しおれ切っている男の顔が、半月前とは別の人のように痩せ衰えているのを見るにつけても、その悼ましい苦労が思いやられて、お園の涙は止めどなしに流れた。
二
親方は親切な人で、自分にもいろいろと力をつけてくれる。親のことはもう諦めるよりほかはない。
こう思えば差し当って六三郎の身の上に何のわずらいもないのであるが、彼の最も恐れているのは広い世間の口と眼とであった。むごい口で海賊の子と罵られ、冷たい眼で引廻しの子と睨まれる。それでは世間に顔出しができない。出入り場へも仕事に行かれない。
「それを思うと、俺はもう生きている気はない」と、六三郎は意気地がないように泣き出した。
男の気の弱いのはお園もかねて知っているので、こうして意気地なく泣いているのが、彼女にはいよいよいじらしく憐れに思われた。