Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
栄之丞のことはとうの昔から承知しているので、今この白状を聴いても次郎左衛門は別に驚きもしなかった。むしろ八橋の口からこの正直な白状を聴いたのをこころよく思った。よく白状してくれたと嬉しく思った。しかも悲しいことには、今の自分にはその願いを肯き入れるだけの力がない。千両に足りない金で八橋のからだをどうすることも出来ないのは判り切っていた。
「八橋も白状した。おれも男らしく白状しようか」
相手が正直に何もかも白状した上は、自分も今の身の上を正直に白状すべきである。折角の頼みではあるが、今の次郎左衛門としてはお前をどうすることも出来ないと、彼は正直に打明けなければならないと思った。しかし彼は自分でも歯がゆいほどに男らしくなかった。女の前で宿なし同様の今の身分を明かすのは如何にも辛かった。彼の胸の底には、やはり佐野のお大尽で押し通していたいという果敢ない虚栄があった。
「治六がゆうべどんなことを言ったのだ」と、彼はまた捜りを入れた。
あるいは無考えの治六めが今の境界をべらべらしゃべっているのではないかという不安もあった。八橋の口ぶりによると、治六もさすがにそんなことは口外しなかったらしく思われたので、次郎左衛門もまず安心したが、それにしても乗りかかった舟の楫を右へも左へも向けることは出来なかった。