Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
「おい、どうしたんだ。泣いていてはわからない。主人に叱られたのか、朋輩と喧嘩でもしたのか」
お光は崩れかかった島田をぐらつかせながら頭を振った。彼女はまだすすり泣きの声をやめなかった。
「わたしは稽古に出る先きだ。早く訳を言ってくれ」と、栄之丞も少し焦れ出した。
「申します。堪忍して下さい」
彼女が泣きながら訴えるのを聞くと、お光の奉公している三河屋のお内儀さんは、よんどころない義理で二十両取りの無尽にはいっていた。きょうは代籤でそれが当ったというので、お光は深川までその金を受取りの使いにやらされた。昼間だから大丈夫だろうが、それでも気をおつけよとお内儀さんは注意した。お光は橋場の寮を出て深川へ行った。
世話人がいるとか居ないとかいうので、お光はしばらくそこに待たされた。二十両の金をうけ取って深川を出たのはもう七つ(午後四時)さがりで、陰った日は早く暮れかかった。おまけに雪さえちらちらと落ちて来たので、お光は小きざみに足を早めて橋場へ帰って来る途中、吾妻橋の上を渡りかかると、さっきから後を付けて来たらしい一人の男が、ふいに駈けて来てうしろからお光を突き飛ばした。