Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じんちょうげ
沈丁花
宮本 百合子
Lesen Sie 沈丁花 (じんちょうげ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.478 Zeichen · 19 Bildschirme
千鶴子が拒絶はしないであろう。ただ、はる子の親しみの感情が彼女に対して未だそこまで発育していなかった。性格の故で、千鶴子はそれに身の上のことも打ち明けては話さず、ほんの輪郭を、断片的に聞かせただけであった。何だか解らないところがあった。然しはる子は、こう困っている有様を見ると、
「ではまあさし当りもう一度××堂の×さんのところへでも行って見るんですね、私の方も考えて置きましょうから」
というお座なりで帰す訳には行かない気がするのであった。
夜は段々と更けて来た。どこかで十時を打った。あたりは静かなので雨戸の外から聞えるその時計の音が、明るい室内のゆとりない空気を一層強く意識させた。その時まで暫く黙ってぼんやり考えに耽っていた千鶴子は、それでも時間に心付いたと見え、機械的に椅子から立ち上った。彼女は立ってからも障子を見つめていたが、のろのろはる子の方に振り向き、
「私カフェーの女給にでもなってしまおうかと思います」
と云った。その声はやっと聴える程細かった。
「×さんもそういう仕事をしていらしったんでしょう?」
千鶴子は、そして、如何にもせっぱ詰った顔付をした。