Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
私はそこまで這って行ってそれらの物を取って来たが、もう這うことも出来なくなった。私は腹を砂の上へ丸太のように転ってそのまま昏々と眠りに入った。そうして再び目覚めた時には私の側に椰子の果実と呑み水とが一椀置いてあった。果実を食って水を飲むと私はようやく元気づいた。棕櫚笠を頭に戴いて短銃と弾丸帯を腰に着けて手帳と万年筆とは下衣に隠して林の方へはいって行った。何より先に蘇生させてくれた恩人の姿を見つけようと足跡を手頼りに進んで行ったが、林へはいると雑草に蔽われ見出すことが出来なかった。雑草は丈延びて身丈よりも高く林の中は夜のように暗い。喬木はすくすくと空に延し上がり葉と葉は厚く重なり合い数町あるいは数里に渡って緑の天蓋を造っている。太古のままの静けさが森林の中に巣食っている。鳥も啼かず人影もなく風さえ葉の壁に遮られて林の中までは吹いて来ない。
自然の厳粛に打ち拉がれて私は茫然と立ち尽くした。いったいどうしたらいいのだろう? これから俺はどうしよう? こう思って来て自分ながら恐ろしい運命に戦慄した。
二十七
どっちへ行こうかと森林の中を途方に暮れて見廻した時、またも奇蹟が発現われた。