Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
この辺は木立がまばらなので月光が隙から射して来る。その月光に照らし出された豹の姿の美しさ、軟かな毛並み鮮かな斑点、人の児のような優しい手つきでセッセと爪を磨いでいる。私はしばらく見ていたが内側から扉を足で蹴ると扉を掻く音をヒタと止めて、少しの間考えていたがやがて抜き足して小屋を離れて幹を伝って丘へ下りた。そして林へはいって行った。
林に住んでいる獣のうち山羊や小猿はよく慣れて毎日小屋の辺へ集まって来た。そして私から餌を貰っては喜んでそれを食べるのであった。最初は恐れていた小鳥達も次第次第に慣れて来て終いには銃眼から小屋の内へまで恐れ気もなく舞い込んで来て小鳥らしい可愛い悪戯をして――たとえば糞を落としたり椅子のもたれをつついたりして――そしてまた同じ銃眼から林の方へ帰るのであった。ある日私は山羊を捉らえて試みに乳を絞って見た。すると純白の不透明の乳液が、椰子の実の椀に三杯取れた。それは大変味がよくてきわめて立派な飲料であった。煙草には不自由しなかった。野生の煙草の木がどこにでもあって立派な刻煙草になるからである。手製のパイプへそれを詰めて惜し気なくそれを吹かす時私は真に幸福であった。