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Japanische Klassiker mit Furigana

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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme

Aozora Bunko

ほとんど幾十という人間の顔が藪地の木の間から私達の方を瞬きもせずに瞶めている。それは確かに人間の顔だ。人間の顔には相違ないが、それが人間の顔だとすると何んという奇怪な顔だろう! 普通の人間の顔から見るとほとんど二倍の大きさはある。そしてその顔の五分の三はセピア色の毛で蔽われていて、巨大な鉄槌で打たれたかのように低く額は落ち窪み無智の相貌を現わしている。それに反して唇は感覚的に膨れ上がり鼻より先に突き出ている。鼻翼ばかりが拡がって全然鼻梁のない畸形の鼻は眼と口の間に延び縮みして護謨細工の玩具でも見るようである。

私は、余りの恐ろしさに、思わずダンチョンへ縋ろうとした。

「妖怪だ妖怪だ! いや蕃人だ!」

私は思わず呻いたが、妖怪だと思ったその蕃人の、一番前にいた一匹が藪地からヒラリと飛び上がって喬木の幹へ抱き付きスルスルと梢へ昇るのを見て、それが妖怪でも蕃人でもなく思いもよらない類人猿の有尾人種であることを知った。

「ピテカントロプスだ! 有尾人種だ!」

私はまたもこう呻いて、にわかに失望した眼を見張って、どこかに救い主はあるまいかと前後左右を見廻した。