Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
すると意外にも官舎の前の芝生の上に一団の、蠢めくものの形があった。よくよく見ると人間で、十人に近い人数である。円く芝生に胡坐をかき、額を土へ押しあてて何事か祈ってでもいるらしい。ブツブツといういとも小さい呟きの声が聞こえて来る。祈祷の声ででもあるらしい。
すると突然その中から一人の男が立ち上がった。やや明瞭りと云うのを聞けば、それは回教の祈祷であった。
「アラ、アラ、イル、アラ……唯一にして絶対なる吾らの神よ……吾らをして強くあらしめたまえ! 吾らをして敵を殺さしめたまえ! ……何物をも吾らより奪うなく、何物をも吾らに与えたまう神よ!」
その男は両手を空へ上げ、手をあげたまま腰を曲げ、地面へその手の届くまで、上半身を傾むけた。それから再び腰を延ばし、両手で空を煽ぎ立てた。それからまたも腰を曲げ、地面へ両手を届かせた。そうしては延ばし、そうしては曲げ、幾十回となく繰り返した。
その時かすめた太鼓の音が――鈴の音のする手太鼓の音が、円座を作った真ん中から、夢のように微妙に聞こえて来た。とそれへ銀笛の音が混った。幽かに幽かに鉦の音も――その不思議な調和というものは! 人をして深い眠りを誘い、夢中で人を歩かせるような、また、この欧州のどこへ行ったとて、到底聞く事の出来ないような、東洋式のその調和! 単調で物憂い太鼓