Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
「府庁へ行く道の中央で。……いや飛んでもない怪獣だ」
「レザール君、見るがいい。これが怪物の正体よ」
ラシイヌはレザールを押しやった。
自動車の中には東洋犬の毛皮を冠った人間が、昏々として眠っていた。
レザールはその顔を見詰めたが、
「こりゃ園長のエチガライだ!」
「すなわち怪獣の正体さ――よろしい、諸君、では怪獣を病院へかまわず運んでくれたまえ」
自動車は再び爆音をたて、街路を辷るように走り去った。
「行こう、レザール、じゃさようなら……明日君の家を訪問しよう。その時君の話しを聞こう。今夜は眠いから失敬する」
ラシイヌはクルリと体を向け、横町へズンズンはいって行った。
五
その翌日のことである、ラシイヌとレザールと美術家とが、レザールの室で落ち合った。やっぱり麗かな春の陽が、南欧桜の香と一緒に室の中へいっぱいに射していた。
「……夫人の話を聞いているうちに、動物園長のエチガライが、疑わしいと思いましたので……」
レザールはいくらか恥ずかしそうな、思い違いを恥じるような、感激の伴なわないぼやけた声で、自分の解釈を一通り、ラシイヌに説明するのであった。