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Japanische Klassiker mit Furigana

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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme

Aozora Bunko

「忽然として現われて来て、私の心を捉えた女は、また忽然と消えてしまった。しかし彼女は消えたにしても、彼女が残した胸の傷は容易のことでは消えはしない。それにしても本当に紅玉という女は、何んという不思議な女であろう。そういう女に逢ったということは、なんという私の不運であろう」

こう思うにつけても、張教仁は、どうしてももう一度紅玉を手に入れたいと焦るのであった。彼はそれから尚頻繁く、北京の内外をさがし廻った。

こうしていつか月も経ち夾竹桃や千日紅が真っ赤に咲くような季節となり、酒楼で唄う歌妓の声がかえって眠気を誘うような真夏の気候となってしまった。

張教仁はある夜のこと、何物にか引かれるような心持ちで、かつて愛人を見失なった金雀子街の方角へ、足を早めて歩いて行った。わずか一月の相違ではあるが、薄紫の桐の花も、焔のような柘榴の花も、おおかた散って庭園には、芙蓉の花が月に向かって、薄白くほのかに咲いている。

「花こそ変ったれ樹木も月も、あの時とちっとも変っていない。それだのに私の心持ちは、何んとまあ変ったことだろう」

張教仁は支那流に、このように感慨に沈みながら、トボトボと道を歩いて行った。