Japanische Klassiker mit Furigana
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かはくれいじょう
河伯令嬢
泉 鏡花
Lesen Sie 河伯令嬢 (かはくれいじょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.763 Zeichen · 68 Bildschirme
水溜には杜若が咲いていました。上り口をちょっと入った処に、茶の詰襟の服で、護謨のぼろ靴を穿いて、ぐたぐたのパナマを被った男が、撥で掌を敲きながら、用ありそうに立っている。処へ、私が上りかかると出会がしらに、横溝を跨いで、藪からぬっくりと、顕われたのは、でっぷりと肥った坊主頭で、鼠木綿を尻高々と端折って、跣足で鍬をついた。……(これがうつくしい伯母さんのために出家した甥だと、墨染の袖に、その杜若の花ともあるべき処を)茗荷を掴み添えた、真竹の子の長い奴を、五六本ぶら下げていましたが、
(じゃあ、米一升でどうじゃい。)
すぐこう云うと、詰襟が、
(さあ、それですがね。)
(銭、五貫より、その方が割じゃぜい――はっはっはっ。稗まじりじゃろうが、白米一升、どないにしても七十銭じゃ。割じゃろがい。はっはっはっ。)
泥足を捏ねながら、肩を揺って、大きに御機嫌。
給金の談判でした。ずんずん通り抜けて、寺内へ入ると、正面がずッと高縁で、障子が閉って、茅葺ですが本堂らしい。左が一段高く、そこの樹林の中を潜ると、並んではいますが棟が別で、落葉のままに甍が見えます。階を上ると、成程、絵馬が沢山に、正面の明神の額の下に、格子にも、桟にも、女の髪の毛が房々と掛っています。