Japanische Klassiker mit Furigana
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かわあかり
河明り
岡本 かの子
Lesen Sie 河明り (かわあかり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.244 Zeichen · 98 Bildschirme
とぜいぜいいって叫んだ。すると生みの母親は冷淡に、「いけませんよ」といって、その手から木下を靠ぎ去った。堺屋の主人は始め不快に思ったが、生みの母のすることだから誰も苦情はいえなかった。
すると堺屋の妻は、木下の母親には、今まで決して見せなかった涙を、死の真近になった顔にぽろぽろと零して、「なるほど考えてみると、今までは私が悪かった。謝るから、どうかこのことだけは一つ自分の遺言だと思って、聴容れて貰い度い」と云って、次のことを申出た。つまり自分の生んだ女の子が育って、年頃になったなら、必ず木下と娶わして欲しいというのであった。木下の母親もそれまでは断る元気もなく、しぶしぶ承知の旨を肯いて見せた。すると堺屋の妻はまだ本当には安心し切らないような様子で半眼を開いて、じっと母と僕と娘の顔を見較べながらやがて死んだ。木下の母親は堺屋の妻の死後までその時の様子を憎んでいた。
娘は乳母を雇って育てられた。木下の母親は自然主婦のような位置に立って、家事を引受けていたが、不思議な事には喧嘩相手の無くなったことに何となく力抜けのした具合いで床につき勝ちになり、それから四年目の木下が十三歳、娘が五つの年に腹膜炎で死んだ。