Japanische Klassiker mit Furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Lesen Sie 油地獄 (あぶらじごく) von 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.624 Zeichen · 69 Bildschirme
くも仲々口は開かない、そのとき歌ちゃんと云れた芸妓は貞之進の方を向いて、あなたにも上ましょうかと云たこそ幸い、飛附たいほど貰いたかったがそれも手が出ない。彼男は一旦袂へ取込んだ名札を再び出して見て、何だ柳橋だ家名が無いと疑わしそうに云うを、おやそうですかと芸妓はちょっと覗き込んで、弘めの時の残りですもの、儂は名札は嫌いと云たのから見れば、一本に成てまだ間のない歌ちゃんなることが知られた。彼男はよく/\の穿鑿家と見え、それじゃ家名は何だと推返すと、知ませんよと芸妓は冷かに受けて銚子を取り、お酌/\と突附たが彼男が名札を下へ置ぬので、くどいのねあなたは、梅乃家ですよサアお酌と、同一時間に二種の事業を遣り遂げる、彼男はようやく満足して猪口を取った。名札を呉れろの家名は何だのと根掘り葉掘りするは、二度と来ない客か、来ても自腹を切らない客だと或老妓の言ったのは、この男の容子から考えて、宜べ経験のあることと信じられた。しかれども悦ぶべしその名札は、江戸三界を持廻られて、息災延命のお札より有難いに相違無い。
貞之進は始終耳を欹てゝ居たが、ついに思う