Japanische Klassiker mit Furigana
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なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme
覚えてるかい? 覚えてたら、又遊びにおいでよ……」
といった。啓吉は吃驚したような顔をして隆山を見上げた。「遊びにお出でよ」と親切なことをいってくれたのは、大人でこの男が始めてであったから――。
「ああ」
啓吉は有難うをいいたかったのだが、何となくそれがいえないで走り出した。
花屋がある。コロッケ屋がある。啓吉はその路地へ片足でぴょんぴょん溝板を踏んで這入って行った。突き当りの二階の手摺には、伸一郎を抱いて背を向けた勘三が、つくねんとしている。
「只今」
と格子を開けると呆れたような寛子が、
「まア、厭な子だねえ、人にさんざ心配させて……貴方! 啓ちゃん帰って来ましたよッ」
と、ほっとした容子で二階へ呶鳴った。
十一
田の麦は足穂うなだれ
茨には紅き果熟し
小河には木の葉みちたり
いかにおもうわかきおみなよ
「ああいかにおもう、野崎澄子よ、か……」
勘三は、拾ったハンドバッグの中から、匂いのいいコンパクトを出して、鼻にあてながら、ストルムの詩をうたった。妻にはない若い女の匂いだ。伸一郎はぽかんとして父親の容子を見ている。
「貴方ン! 啓ちゃん帰って来ましたよッ」