Japanische Klassiker mit Furigana
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なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme
貞子も、啓吉の大声に吃驚したのか、一寸ギクッとしたかたちであったが、格子をぴしッと閉めると、泣いている啓吉を引き起して、
「大きななりして莫迦だね、もういいよ。帰されたもの仕方がないじゃないかね。本当に莫迦で仕様がないよ……さ、お靴をぬいでお上り、ええ?」
遠くで子供達の歌声が聞えて来る。家の横のポプラの落葉が、格子戸の硝子にばらばらと当って墜ちてゆく。
声をあげて泣いていると、百のお喋りをしたよりも胸がすっとして、啓吉は呆れてつっ立っている母の足元で、甘えるように、おおんおおんと声をたてて泣いた。
「どうしたンだ?」
茶の間から、鼻の頭がぎらぎらしている男が出て来た。その後から、妹の礼子が、
「お兄ちゃん泣いてるよ」
と、走って男の手へつかまった。
「大きい癖に、から、意気地がなくてねえ……」
流石に、貞子も気がとがめたのか、「ああ」と溜息をついて上へ上った。
「おい、小僧! さ、泣き止めてッ、ええ? 手でも洗って、礼ちゃんと遊んでお出でよ」
啓吉は泣く事に草臥れたけれども、声をたてることは気持ちのいいことなので止めなかった。不思議なことに声を立てていると、涙があとからあとから溢れ出て来る。