Japanische Klassiker mit Furigana
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なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme
二十一
「復習して来ましたか?」
先生は黒板を消し終ると、机の上の本をパラパラと繰って、
「饗庭さん、第十四課の六十六頁を開けて、四行目から読んでみて下さい」
饗庭芳子は立ちあがると声を張りあげて、
「今日はお前たちに一つ聞いてみたい事がある。お前たちのうちで誰が一番この父を大事に思ってくれるか。わしはそれが知りたいのだ。先ず姉のゴネリルからいってみよ。と尋ねた。……」
張りのあるいい声で、啓吉はうっとりと聴きとれていた。何時か、饗庭芳子が、学芸会の席で、鎌倉を暗誦して読みあげたことがあったが、実にいい声であった。
由比の浜辺を右に見て
雪の下道過行けば
八幡宮の御やしろ
のあたりなどは、彼女の得意のところらしく、啓吉はいまでも饗庭芳子の振袖姿を思い出すのだ。
「はア、そこンところで次に級長さんに読んで貰いましょう。級長さんは、何ていうお名前?」
「…………」
啓吉が赧くなっていると、饗庭芳子が、大人びた物いいで、
「田崎啓吉さんておっしゃいます」
と言った。
「そう、田崎さん、ではその七十二頁の、饗庭さんの次から読んで御覧なさい……」
すると立ちあがった啓吉は、すっかり周章てて、何行目だったろうと、七十二頁を繰ったが、やたらに、「王は男泣きに泣いた」