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Japanische Klassiker mit Furigana

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どろぼうとわかとの

泥棒と若殿

山本 周五郎

Lesen Sie 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.601 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

――しかし成信にはその話しは楽しかった、楽しいといっては違うかもしれない、事実はいたましく哀れなのだ、聞いて思わず歎息のでるようなことがしばしばであった。けれどもそこには成信などの知らない、活き活きした生活があり、人間のあからさまなすがたが感じられた。

夜半に眼がさめて、隣りに熟睡している伝九郎の寝息を聞きながら、成信はしみじみとしたおもいで、酔って川へはまって死んだという彼の実父のことを想像した。七つという年で蜆を売り歩いたという、霜のおりた、寒い、早朝の街のひっそりとした景色を、眼にえがいてみた。

――このおれがもしそのような身の上だったら。

成信は彼と自分とを置き替えてみた。すると置き替えたほうが人間らしく、生き甲斐のあるように感じられた。

古石場の帳場から金をさらって逃げたという男。吝嗇で嘘つきで口やかましい女房。彼を苦しめ、搾れるだけ搾りながら、死ぬまで彼を「親不孝者」と罵しったという養父。妻とは名ばかりで、博奕を打ち酒を飲んで騒ぎ、じつはほかに本当の亭主があったという初めの女。――みんなそれぞれ狡猾でいやらしい、だがそうやって伝九郎をいためつけ、彼を騙し、彼を憎み、彼からくすねたり奪ったりしながら、かれら自身もそれほど恵まれはしなかったであろう。