Japanische Klassiker mit Furigana
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どろぼうとわかとの
泥棒と若殿
山本 周五郎
Lesen Sie 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.601 Zeichen · 41 Bildschirme
「おまえの云うとおりすっからかんだ、おれも始めにそう云ったではないか」
「笑いごっちあねえや、おお痛え」
男は方々を撫でまわしながら、夜具のそばへ来て坐った。右足の股引を捲りあげて、そこを布切で縛ってある。さっき擦り剥いたところなんだろう。――男はあたりを眺めやり、溜息をついた。するとそのとき彼の腹の中でくうくうぐるぐると妙な音がした。
「腹がへってるんだが、なにか食う物はねえか」
「ないようだな」
「晩飯の残りでいいんだ、なにか食わしてくれ」
「――それがないんだ」
舌打ちをして男は立上った。それから厨のほうへいったが、なにかがたがたやりながら、ひどく腹を立てたように、「だだっ広くってなにがどこに有るかわからねえ」とか、「ここに竈があるとすれば」とか、「ちぇっ、こいつも空っぽだ」とか、いろいろ独り言を云ったのち、がっかりしてまた夜具のそばへ戻って来た。
「米櫃も空っぽみてえだが、米もねえのか」
「――おれは嘘は云わない」
「じあおめえどうしてるんだ」
「――ごらんのとおりさ」
「だって飯は食ってるんだろう」
「――今日で三日、なにも口へは入れない」
「しようがねえなあ」