Japanische Klassiker mit Furigana
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どろぼうとわかとの
泥棒と若殿
山本 周五郎
Lesen Sie 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.601 Zeichen · 41 Bildschirme
こう云ったが、やはり成信は食べようとしない。どうしたんだ、と、男は訝かしげにこちらを見まもった。それからふいに肩をいからせ、
「そうか、おめえこの米や味噌をおれが盗んで来たと思ってるんだな、冗談じゃあねえ、そんなべらぼうな、おめえ、とんでもねえこった」
本気に怒った顔で口をとがらした。
「おらあ身銭を出して、この米も味噌もちゃんと買って来たんだぜ、嘘だと思うならいってきいてみねえ、この下の柘榴の花の咲いている百姓家だ、石臼みてえに肥えたかみさんからちゃんと買って来たんだから」
「いや勘弁して呉れ、おれが悪かった、それでは馳走になる」
ほっとして成信は茶碗を持った。
終ると男は膳をさげ、厨口から出ていって、向うの流れでよごれものを洗うらしい。成信は風とおしのよい小書院へいって横になり、ぼんやり庭の樹立を眺めやった。――まもなく男がやって来た。手を拭きながらあたりを見まわし、さてと云ったが、なにか迷うようにこちらを見て、ぶしょう鬚の伸びた顎を撫でたり、ぼんのくぼを掻いたりした。
「じあこれでおらあゆくが、おめえまだずっと此処にいるのか」
「――まあ、そうだ」