Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅうけつせんにしへいく
流血船西へ行く
山本 周五郎
Lesen Sie 流血船西へ行く (りゅうけつせんにしへいく) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.026 Zeichen · 19 Bildschirme
職務上の必要ばかりでなく、冒険好きな樫原船長はずっとこの奇妙な報知に注意していたが、季節風と海流とに関係なく、「流血船」は或る一定の線を西へ西へと流れている事が分った。太平丸が最初に報告を受けた時には、その船は加奈陀の北西二百浬の海上にあったが、それから半年のあいだに二千浬以上も西へ来ているのだ。
「こんな馬鹿な話があるか」
船長が屹と眉をあげて云った。
「誰も乗っていない船が、半年間少しも針路を変えずに二千浬以上も同じ方向へ漂流するなんて、そんな馬鹿げた事があるか、――そのうえ鮮血だ、兇悪な殺人だ、惨劇だ、まるで百年も昔の海洋小説のような事を云う、近頃の船乗はみんな頭がどうかしたに違いない」
「でなければ船長が臆病になられたのでしょう」
「な、なんだと※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「失礼――」
若い伊藤青年は、にこにこ笑いながら一歩退いて云った。
「僕は斯う云いたかったんです、流血船の話は半年も前から聞いています。そして船長は太平洋の鮫と異名のある人です。――どうして噂の実否を確めに行かないのですかと」
「馬鹿な事を、我々には沿海救護という大事な任務がある」