Japanische Klassiker mit Furigana
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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
Lesen Sie 浮かぶ飛行島 (うかぶひこうとう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.009 Zeichen · 249 Bildschirme
「ああ辛い。とんだ貧乏籤をひいたものだ。あの日本の小猿め、早くくたばっちまえばいいものを。そうすれば俺はこの部屋から出ていっていいことになるからなあ」
などと小さい声でつぶやいては、ちぇっと舌打ちをする。
寝台の上では、杉田二等水兵が相変らず黙りこくっている。
看護婦がスプーンで強壮剤をすくって口のところへ持っていってやると、杉田は切なそうにぎろりと眼玉をうごかしては、仕方がないというような顔でもって口を開ける。そこを見はからって、看護婦はその黄色い液体を杉田の口の中に流しこむ。
杉田は、眼をとじたまま、それを苦そうにのむ。
「どうも変な日本人ね。このお薬ときたら、とても甘いのにねえ」
「ほんとだわね。日本人たら、甘い時にはあんな風に顔をしかめる習慣かしらと思ったけれど、そんなことないわねえ」
傷ついた体を敵の手にゆだねていなければならぬ杉田の胸中がわからないのか、看護婦たちは勝手なことばかりしゃべっている。――杉田のとじた二つの瞼の間から、どっと涙が湧いてきて、頬の上をころころと走りだした。
彼は、はりさけるような思いをじっとこらえた。が、あふれ出る口惜し涙はどうすることも出来なかった。