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Japanische Klassiker mit Furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme

Aozora Bunko

――

ボーイ長は、その注意を足や胸から、しばらくの間は、引き離すことも、できるようになった。彼は、つまり、いくらかほかのことも、考えることができるようになった。というのは、手術をしたり、薬の香をかいだりしたのが、彼を、いたわったのだ。

「船に乗ってるとこういうものは、とても食べられないね」などといって、彼は「鹿の子」の小豆を歯でかみとったりしていた。

「全く、この家の菓子はうまいよ。横浜にだって、たんとありゃしないよ」波田は通がった。

「菓子の鑑別にかけちゃ、波田君は、ブルジョア的の嗜好を持ってるからなあ」藤原は笑った。

三人は、胸の焼けるほど菓子を食った。その間に、疲労も回復された。そして、しばらくは、船のことや、一切のいやなことを、忘れてることもあった。が、藤原の心は、ストライクが、いつ起こさるべきであるかが、ほとんど、忘れられなかった。

彼は、菓子を食いながら――「万人が、パンを獲るまでは、だれもが、菓子を持ってはならぬ」というモットーを思っていた。この言葉、このモットーは、どのくらい、藤原を教育したことであろう。この簡単でわかりのいいモットーは、全世界の、労働者たちの間に、どんなに、親しい響きをもって、口から口へ、村から街へと、またたく間に、広がって行くことだろう。