Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
波田は、櫓を入れた。船は、まっ黒い岩か何かのように、そこにどっしりしていた。そして、波の小舟は忙しくころんだ。寂しい気持ちであった。彼は全身の力をこめて、櫓を押した。船のともを回ろうとした時、伝馬はなかなかその頭を、どちらへも振り向けようとしなかった。一目散に逃げて行く犬の子のように、むやみに風に流されようとして、波田に反抗した。けれども彼の総身の努力は、そのからだに一杯の汗となってにじみ出たように、伝馬の頭をようやく風上に向けることができた。が、ともすればそれは横に吹き流されそうであった。
彼が伝馬をタラップにつけた時は、そのからだじゅうは洗ったように汗になっていた。波を削る風はナイフのように鋭かったが、それが、快く彼の頬を吹いた。彼はすぐおもてへはいって汗をふいた。
おもてへは、みな帰って、船長が帰ることについて、ものうさそうに、一言か二言ずつの批評を加えていた。
三上と小倉とは、からだじゅうを合羽でくるんですっかりしたくができていた。
「オーイ、行くぞーっ」と、当番のコーターマスターがブリッジから怒鳴った。
「ジャ頼みます。ご苦労様、願います」