Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme

Aozora Bunko

船長は、それを知っていた。それでいじけ込んでしまった。ばかに相手になってこの暗い海へほんとにたたき込まれたら、全くそれ切りだってことは、十分に船長も知っていた。

「三上、そう怒るものじゃない。え、浜につけば、気に入るようにしてやるから怒らずに、一生懸命やってくれ、え」

「着けば『わかる』んだね。よし来た」仙台はまた、ぼつぼつと櫓を押し始めた。

小倉は、おかしかった。「着けばわかる!」三上の野郎首を切られるのがわかるだろう、ばか野郎め! せっかくおもしろいところまで筋が運んだと思ったら「わかる」で済ましちまやがった。フ、これが「労働者」なんだ。だれにでも、たった一言できれいにだまされちまうんだ。これだから、人間の歴史がいつまでも、歯がゆくて癪にさわってたまらないんだ。あ、わかる、わかる、全く一切がよくわかる。

しかし全く、心細い「航海」ではあった。海はすぐその足の下でうなっていた。啀んでいた。そしてそのからだをやけに揺すぶっていた。

三上と、小倉とは、その生活の大部分がそうであると同じに、今もただ機械的に働いているに過ぎなかった。けれども、彼らは、恐ろしく磨滅して来た。