Japanische Klassiker mit Furigana
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うみのまぼろし
海のまぼろし
小川 未明
Lesen Sie 海のまぼろし (うみのまぼろし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.642 Zeichen · 4 Bildschirme
「私が、お約束をいたします。勇ましい、遠い船出から、あなたのお帰りなさる日を、氏神にご無事を祈って、お待ちしています。」といいました。
こう女にいわれて、喜ばぬ男はなかったでありましょう。若者は、大いにはしゃいで、このあいだもらって、秘蔵していた指輪を、その娘に与え、指にはめてやりました。そばでこれを見たときは、いかに、おとなしい娘でも、さすがにそこにいたたまらず、胸を裂かれるような気持ちがしたのです。
遠い水平線は、黒く、黒く、うねりうねって、見られました。空を血潮のように染めて、赤い夕日は、幾たびか、波の間に沈んだけれど、若者の船は、もどってきませんでした。はすっぱの娘は、はじめのうちこそ、その帰りを待ったけれど、生死がわからなくなると、はやくも、あきらめてしまいました。なぜなら、秋から、冬にかけて、すさまじい風が吹きつのって、沖が暴れ狂ったからでした。彼女は、いつしか、他の青年を恋するようになりました。
「その指輪は、だれからもらったのか。」と、その青年は、問うたのであります。いつか、約束にもらった指輪は、いまはかえって、邪魔となったのでした。