Japanische Klassiker mit Furigana
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かいひんそうのさつじん
海浜荘の殺人
山本 周五郎
Lesen Sie 海浜荘の殺人 (かいひんそうのさつじん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.672 Zeichen · 18 Bildschirme
千之は眼を伏せながら云った。
「そんな訳があるとは知らなかった。是から気をつけるよ――」
「皆にもそう云って頂戴、四人ともあたし好きじゃあ有りませんって。貴方たちはみんな不良よ、嫌いだわ!」
「僕もそう思うよ」
呟くように云って、高野千之はくるっと向直り、大股に庭へ下りて行った。
ここは湘南鵠沼の海岸、中村庄右衛門という老子爵の別荘である。――広大な庭を持った白堊の洋館には、長年の痛風症に悩む老子爵と、十八になる孫娘の志津子、それに執事の苅田平吉と三名の召使が住んでいた。
ところが、暑中休暇になると共に、四名の青年がこの別荘へ避暑にやって来た。井上一郎、久良啓吉、高野千之、荒木清と云って、みんな中村家とは親族関係の者だが、――志津子には四人の青年たちが何を目的に此処へ来ているかよく分っていた。一言にして云えば、彼等は中村家の莫大な財産がめあてなのである。どうかして老子爵のお気入になって、志津子と結婚し、この中村家の巨万の財産を手に入れようと企んでいるのだ。
――うむ、そうかも知れん。
老子爵は志津子の考えを聞いた時頷いて云った。
「だが少しくらい不良に見えるような奴に、却って天才がいるものだよ」