Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいいき

海異記

泉 鏡花

Lesen Sie 海異記 (かいいき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.223 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

「ありゃね、ありゃね、へへへ、号外だ、号外だ。」

五

「あれさ、ちょいと、用がある、」

と女房は呼止める。

奴は遁げ足を向うのめりに、うしろへ引かれた腰附で、

「だって、号外が忙しいや。あ、号外ッ、」

「ちょいと、あれさ、何だよ、お前、お待ッてばねえ。」

衝と身を起こして追おうとすると、奴は駈出した五足ばかりを、一飛びに跳ね返って、ひょいと踞み、立った女房の前垂のあたりへ、円い頤、出額で仰いで、

「おい、」という。

出足へ唐突に突屈まれて、女房の身は、前へしないそうになって蹌踉いた。

「何だねえ、また、吃驚するわね。」

「へへへ、番ごとだぜ、弱虫やい。」

「ああ、可いよ、三ちゃんは強うございますよ、強いからね、お前は強いからそのベソを掻いたわけをお話しよ。」

「お前は強いからベソを掻いたわけ、」と念のためいってみて、瞬した、目が渋そう。

「不可ねえや、強いからベソをなんて、誰が強くってベソなんか掻くもんだ。」

「じゃ、やっぱり弱虫じゃないか。」

「だって姉さん、ベソも掻かざらに。夜一夜亡念の火が船について離れねえだもの。理右衛門なんざ、己がベソをなんていう口で、ああ見えてその時はお念仏唱えただ。