Japanische Klassiker mit Furigana
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かいいき
海異記
泉 鏡花
Lesen Sie 海異記 (かいいき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.223 Zeichen · 37 Bildschirme
」
「それでも夢に見て魘されら。」
「ちょいと、そんなに恐怖い事なのかい。」と女房は縁の柱につかまった。
「え、何、おらがベソを掻いて、理右衛門が念仏を唱えたくらいな事だけんども。そら、姉さん、この五月、三日流しの鰹船で二晩沖で泊ったっけよ。中の晩の夜中の事だね。
野だも山だも分ンねえ、ぼっとした海の中で、晩めに夕飯を食ったあとでよ。
昼間ッからの霧雨がしとしと降りになって来たで、皆胴の間へもぐってな、そん時に千太どんが漕がしっけえ。
急に、おお寒い、おお寒い、風邪揚句だ不精しょう。誰ぞかわんなはらねえかって、艫からドンと飛下りただ。
船はぐらぐらとしただがね、それで止まるような波じゃねえだ。どんぶりこッこ、すっこッこ、陸へ百里やら五十里やら、方角も何も分らねえ。」
女房は打頷いた襟さみしく、乳の張る胸をおさえたのである。
六
「晩飯の菜に、塩からさ嘗め過ぎた。どれ、糠雨でも飲むべい、とってな、理右衛門どんが入交わって漕がしつけえ。
や、おぞいな千太、われ、えてものを見て逃げたな。と艫で爺さまがいわっしゃるとの、馬鹿いわっしゃい、ほんとうに寒気がするだッて、千太は天窓から褞袍被ってころげた達磨よ。