Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんべっそう
海神別荘
泉 鏡花
Lesen Sie 海神別荘 (かいじんべっそう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.689 Zeichen · 46 Bildschirme
美女 いいえ、歎きはいたしません。悲しみはいたしません。ただ歎きますもの、悲しみますものに、私の、この容子を見せてやりたいと思うのです。
女房 人間の目には見えません。
美女 故郷の人たちには。
公子 見えるものか。
美女 (やや意気ぐむ)あの、私の親には。
公子 貴女は見えると思うのか。
美女 こうして、活きておりますもの。
公子 (屹としたる音調)無論、活きている。しかし、船から沈む時、ここへ来るにどういう決心をしたのですか。
美女 それは死ぬ事と思いました。故郷の人も皆そう思って、分けて親は歎き悲しみました。
公子 貴女の親は悲しむ事は少しもなかろう。はじめからそのつもりで、約束の財を得た。しかも満足だと云った。その代りに娘を波に沈めるのに、少しも歎くことはないではないか。
美女 けれども、父娘の情愛でございます。
公子 勝手な情愛だね。人間の、そんな情愛は私には分らん。(頭を掉る)が、まあ、情愛としておく、それで。
美女 父は涙にくれました。小船が波に放たれます時、渚の砂に、父の倒伏しました処は、あの、ちょうど夕月に紫の枝珊瑚を抱きました処なのです。そして、後の歎は、前の喜びにくらべまして、幾十層倍だったでございましょう。