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Japanische Klassiker mit Furigana

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かいなんき

海難記

久生 十蘭

Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

艦長は「いい風向きになった。行けるだけ行ってみよう。たいしたことも出来まいが」といって、アルグゥイーンのほうへ船を進めた。

十五人の生存者にとって、救われたことが幸福だったか不幸だったか、簡単にも言い解くことはできないが、しかし、こういう事情で、ともかく筏は発見されたのである。

最初に望遠鏡に、うつったのは、メデュウズの砲術長のクゥルタードが、檣材に縋りついて狂気のように布切れを振っている姿であった。四人ばかりが砲術長の身体を支え、べつの一団は酔ったように踊り狂っていた。

筏の端に端艇をつけると、サヴィニ軍医補とコレアール技師が走りだしてきた。どちらも黒々と陽に灼け、頬が削げて別人のような人相になっていたが、食糧もなく、十日以上も漂流していた割にしては、どちらもひどく元気だった。軍医補は私に、「助けに来てくださって、ありがとう。食うものはないが、五日ぐらいならばまだ頑張れますよ」といった。

サヴィニ軍医補は嬉しさのあまり失言したのだと思う。尤も、この言葉の裏に隠された真の意味を了解したのは、それからずっと後のことだったが。

「筏に移るなり、私は言うにいえぬ沈鬱の気にうたれて思わず足をとめた。