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Japanische Klassiker mit Furigana

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かいなんき

海難記

久生 十蘭

Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

武装した組だけが生き残り、なにひとつ装備を持たなかった百何十人が一人も助からなかったのはなぜだろう? 発程の事後、主計部員の一人が、食糧らしい食糧を筏に積まなかったと後悔していたが、十二日の漂流の後、なお普通に近い健康を保っているのはなぜだろう? 檣材の控綱に見馴れない肉片がいくつもぶらさがっている。それとおなじようなものが軍医補の衣嚢からもはみだしていた。「これはなんだ」とたずねると、軍医補は、「ええ、これは飛魚の肉です」と笑いながらこたえた。」

それは飛魚の肉だったのか、それ以外になにかの肉だったのか、セネガルの分管区では、ついに明白にされずにしまった。

サヴィニという軍医補は、肉体的にも精神的にも、フーシエ的とでもいうようなふしぎな存在だったといわれるが、フランスの本土へ脱走同様の帰還をし、海軍省と「デバ」紙に長文の事由書を送ってショオマレェ艦隊司令官を告発した。というのは、海難事件とそれにつづいてひき起ったいろいろな出来事を、サヴィニが告発するまでは、フランスの本土では全然知られていなかったということなので、従って、ラ・メデュウズの筏の一件も、生存者に告解をうながすどころか、サン=ルイ島一帯にひろがった醜聞を揉み消して、闇に葬り去ろうとする政略のほうが強力に行なわれたのである。