Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
ラ・メデュウズは二十度ぐらいの傾斜で右舷に傾いたまま、湧きたつような浅瀬の波の中にしずまっていた。なにひとつ眼を遮るものもない※(「水/(水+水)」、第3水準1-86-86)々たる海の面に、雲が影を落しながらしずかに動いていた。聞えるものは波の音ばかりで、いい知れぬ孤独を感じさせる情景だった。
ショオマレェは茫失状態から醒めると、さっそく海難の状況をしらべさせた。さいわいラ・メデュウズはたいした損傷を受けていず、満潮を利用して離洲することができたら、このままサン=ルイまで行き着けるかのような楽観的な考えを起させた。とりあえず総帆おろしを行い、出来るだけ遠くへ錨を入れて、キャプスタンをかけさせたが、船は動かずに、あっけなく錨のほうがひき寄せられてくる。いくどやっても定着力が悪く、錨はそのたびに砂の海底をむしっては帰ってきた。不幸なことに、海難は最高潮時に起ったので、そういう間にも潮がひいて、吃水が十エスパン以上もあらわれ、それでもなおどんどん水準が下って行く。満潮を利用する離洲はこれでとうてい望みがないということになった。
総督、司令官、警備隊司令、レーノォ大尉以下の首脳部が艦長室に集って会議をはじめた。