Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
軍法会議の海事審判廷で、判士長がこの点を鋭く衝いている。
三日の昼頃まで静穏だった海が急に夕方から荒れだし、浅瀬の高波が中甲板までうちあがるようになった。夕食後、また会議になったが、ショオマレェの意見に従ってともかく軍艦を捨てることにし、※(「勹<夕」、第3水準1-14-76)々に筏をつくらせることにきめた。
ロシュフォール港を出航した日以来、底ぬけの無能ぶりを発揮してきた司令官の意見が、この際になってもなお重用されたというのは奇怪な話だが、これだけの人間がいながら、軍艦を捨てるよりもサン=ルイに快走艇をやって、僚艦の救援を求めるほうが早道だという単純な理窟が誰の頭にも浮ばなかったというのは、ふしぎなことであった。ラ・メデュウズは執念深い浮洲にしっかりとつかまえられたが、なんの損傷もなく、浸水さえしていないのだから、そうまでして軍艦を放棄しなければならない理由はどこにもなかった。ラ・メデュウズが擱坐した瞬間から、軍艦が沈むという考えがみなの頭に凝りかたまり、当面の状況に圧倒されて、理非の判断をする能力を失ってしまったのだと思うほか、解釈のしようがない。