Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
、セネガル黒人国と、十二以上のちがう国籍を持っていたというのも不幸なめぐりあわせであった。そういう雑多な素質が一つの筏の上に集約され、否応なく異常な現実に直面させられると、いったいどういうことが起るか、察しるに難くないのだが、漂流の第一日目の夜から、果して予期どおりの事態が惹きおこり、陰謀、裏切り、掠奪、争闘、殺し合い、その他、人間と獣がなし得るかぎりの見事な行為が、活社会の縮図といったぐあいに、巨大な筏の上で、十二日の間、休むまもなく繰返される。悽惨そのもののような情景で、想像するだに溟濛たる感じが身に迫るような思いがするが、ドラマの本態は悽惨でもなんでもないので、その百何十人かが、そういう境界に置かれたら、万人がかならずやりだすようにしか動いていないところに、言うにいえぬ恐しさがあるのである。
ファーレルからブノアまで、千八百年代の作家はみな一度はこの事件を手がけているが、その後、アルマン・プラヴィエールが「亜弗利加沖難破事件の真相」で仕遂げたほどのことは誰もやっていない。ダングレェ夫人などは、とめどもない人間の愚行に呆れはて、何年かにわたる調査の結果を三行足らずの文章に要約し、執筆のほうは思いきりよく断念してしまった。