Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
黒人は一浬ほど海を泳いでそれをラルギュスに届けた。砂丘の一団は、予想どおり、エスピオ少尉の艀に乗った八十八名の一部で、徒歩でサン=ルイに向っている途中なのであった。
あの朝、エスピオ少尉は筏を曳いている端艇群のほうへ寄って行き、乗員を何人かひきとってもらうつもりだったが、端艇はみな帆をあげて逃げだしてしまう、エスピオは古船に八十八人も乗せたまま、難儀な航行をつづけなければならぬことになった。古船の底から絶えず水が入り、つぎの瞬間には沈むかという危険な状態でメリク岬の鼻をかわしたが、翌六日の朝、アングラス中尉がだしぬけに陸行するといいだし、それについて六十人ほどの陸兵が上陸した。クンメル博士もその一行に加わった。艀にはエスピオ少尉と二十五名の人員が残った。岸と船で別れの合図をかわし、艀はまた湯気のような熱い靄のたちこめる赤道の海に漂いだした。
一時間ほどすると、うしろから三艘の舟艇が追いついてきた。ラペレェル中尉の端艇、モーデ中尉の小艇、それにシャストリュス技師長の快走艇だった。快走艇は浅瀬に乗りあげたのだとみえて舷を壊し、放っておけば目前で沈没するかというようなひどいようすをしているので、エスピオは二十五名の乗員をひきとって快走艇を遺棄し、二艘の端艇と同行して、絶望的な難航をつづけた。