Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
出発の当初に、そんな行きすぎた訓示をする必要があろうとは思えない。これは後の話だが、アングラス中尉とクンメル博士の対質になったとき、「訓示らしいことは言ったが、Cannibalisme のことなどは全然触れなかった。かりにもそういう発言をしたら、それほどの侮辱にたいして、われわれが黙っているはずはない」と博士は述べている。
アングラス中尉は、十個、少なくとも六個の死体を沙漠に遺棄している。アングラスの陳述によれば、それにはいちいち至当な弁明がなされているので、そう言われれば、なるほどそういうわけだったのかと納得できるのだが、後から考えたらしい訓示の一件があるばかりに、十人乃至六人の人間だって、実のところは、どんなことをされたかわかったものではないという疑問が起きるのである。
対質者のクンメル博士のほうは、では正直な告白をしているのかといえば、これのほうにもあやしいところがある。クンメルはなぜか一隊と分かれて沙漠を独行し、モール人の酋長の天幕で優遇された顛末をユーモラスな筆で綴っているが、なんのために、皆と分れ自分から困難な旅を選んだのか諒解できない。