Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なみだのアリバイ

涙のアリバイ

夢野 久作

Lesen Sie 涙のアリバイ (なみだのアリバイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.497 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

――〔間〕――

◇美人の手登場……しずかに電燈をつける。

……………………指環をはめ直し、指先に残っている化粧のあとをハンカチで拭い消しなぞしながら、何気なく机の案内状と葉書とを取り上げてみる。

……………………さも嬉しそうに両手を打ち合わせる。

……………………インキをつけたまま投げ出してあるペンを、ソッと取り上げて「出席槻田万策」と書いてある横に、優しい筆跡で「同 シズ子」と並べて書き「欠席」の文字を消そうとして、インキの切れたのに気付き、つけ足そうとする。

……………………と………インキ壺の中に何か落ち込んでいるのに気がついて、ペン先で二三度突つき、その中の一個をかき上げると、ハッとしてペン軸を取り落す。

……………………ワナワナとふるえる指でレターペーパーを二三枚破って、吸取紙の下に重ねて、机のまん中に置き、抽出からピンセットを取り出して、インキの中にさし入れ、宝石を一つ一つ拾い上げてインキを切り、スッカリ紙に包み、その上からハンカチでくるんで懐に入れる。

……………………別の新しいハンカチを取り出して泣く風情……。

……………………そのまま静に、電燈を消して退場……。