Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りんらくのこうじょのおぼえがき

淪落の皇女の覚書

久生 十蘭

Lesen Sie 淪落の皇女の覚書 (りんらくのこうじょのおぼえがき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.649 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

私が選んだのはカルメリート派の「醜業」による贖罪、出来るだけ多くの人に穢され、辱かしめられることでした。ただ遺憾なのは、そういう間、逸楽を感じずにはすまされなかったこと、そうして得た金を生きてゆく糧を購うために使ったことのこの二つですが、やむをえないことだったと思っています。

この覚書は誰のために書いているのでしょう。私としては、このようなものを書残して置こうなどと一度だって考えたことはありませんでした。J・Rよ、どう考えてもそれはあなたのためらしいのです。こんな血を持った私たちが結婚すれば、アレクシスとおなじ悩みを子供に伝えなくてはならないことはみな早くから知っていましたので、末の妹のアナスタジアさえ、ほんの子供のときから生涯結婚しないことにきめていました。私たちがなにより恐れていたのは、どこかであなたのような淳朴なひとに出逢って、愛情を感じだすかというそのことでした。でも私が恐れていた事態が、贖罪の前に来ず、終りに近いころにやってきたのはありがたいことでした。

なぜかといいますと、愛情の甘さと優しさが身に沁みて感じられる頃だったら、課業もアレクシスのことも忘れ、絶えず口実をつくりだして身を焼きつくすまであなたを追い求めたろうと思われるからです。